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SPECIAL

スペシャル

スタッフ/キャスト 連載インタビュー

TVアニメ『グノーシア』に関わる
スタッフ・キャスト陣の
リレーインタビュー企画です。
2025年10月11日より放送がスタートしたTVアニメ『グノーシア』。

舞台は宇宙を漂う一隻の宇宙船、星間航行船D.Q.O.。人間に擬態した未知の存在「グノーシア」を排除するため、乗員たちは毎日1人ずつ、話し合いと投票によって“疑わしき者”をコールドスリープさせていきます。

しかし、主人公・ユーリは、どんな選択をしても“1日目”に戻ってしまう——そんなタイムリープの渦中にいました。

極限状況の中で交わされる会話を通じて、少しずつ明かされていく乗員たちの本音や秘密。信じるべき相手は誰なのか。何が正しい選択なのか。繰り返されるループの先に待つものとは——。

人狼ゲームをベースにしながらも、SF要素やキャラクタードラマを掛け合わせた独自の体験型ゲームとして熱狂的な支持を集めてきた『グノーシア』。その唯一無二の世界を映像として立ち上げるにあたり、制作陣はどのような試行錯誤を重ねてきたのでしょうか。

第21回は、アニメ版『グノーシア』を共に手がける原作者兼プロデューサーの川勝徹さん(プチデポット)と木村吉隆さん(アニプレックス)に、これまでの放送を振り返りながら、プロジェクトを動かす立場として感じた手応えや葛藤を語っていただきました。
第19話までの放送を振り返って、お二人が特に印象に残っているエピソードやシーンを教えてください。
川勝徹さん(以下、川勝)
全部ですね。その上であえて挙げるなら、やはり第18話のエンディングで「blue sky, blue star」のアニメバージョンが流れるシーンです。長谷川(育美)さんに歌っていただけて、本当に良かったです。
木村吉隆さん(以下、木村)
「blue sky, blue star」を長谷川さんに歌っていただこうというのは、川勝さんのアイデアなんです。

あの曲は、ゲームではプレイヤーに対してセツが別れを告げる象徴的なシーンで使われる楽曲です。アニメのエンディングテーマとして使うなら、セツの感情を乗せたい。セツ役の声優さんに歌っていただき、特殊エンディングとして落とし込む形が最も美しいだろうという話を2年ほど前からしていました。

実は、今回の楽曲レコーディングの進め方が少し特殊でして。細かく各パートを録っていった後、それまでのテイクをすべて破棄して、最後に全編を通して録り直したんです。
なぜ、そのような方法をとったのでしょう?
木村
音楽の深澤さんから「録れば録るほど良くなっているから、この状態で頭から録り直したい」と提案がありまして。それで一から録り直したら、本当に素晴らしくて。あの瞬間は、一つの集大成を見せていただいた気がしました。長谷川さんの高い歌唱力は存じ上げていましたが、セツとして「blue sky, blue star」を歌っていただき、本当に感謝しています。
川勝
第18話をセツの歌声で締めることで作品として非常に象徴的なシーンになりましたね。
木村さんが印象に残っている話数やシーンもお伺いさせてください。
木村
第9話も個人的に好きですね。ユーリ、コメット、沙明がグノーシアになる回ですが、それまですごくいい子だったユーリが騙す側になった瞬間に悪い顔をするんですよ。「意外と騙せるじゃん!」みたいな(笑)。

あの回は、監督や脚本の花田さんとかなり知恵を絞りました。最後にコメットが「大好き」と言うシーンがあるのですが、どうやって最後に繋げていこうかと。第8話の最後に「ようこそ、グノーシアの世界へ」というコメットのセリフがありますが、原作をご存知の方は「え、グノーシアなのにコメットとペアで大丈夫!?」と思ったかも……。
川勝
ゲームやアニメで知っていると「コメットが相棒はまずい……」って思いますよね。とても愛されるいい子なのですが、あまり議論に向いてなくて。
木村
真面目さの中にあるちょっとした笑いといいますか。シリアスな展開もありつつ、キャラを知っていると微笑ましく思える要素を作品に散りばめられたかなと思います。
川勝
僕が最初に気に入っている話数を「全部」と伝えたのは、1話ごとに見どころがきちんとあって、それが最後まで続いていくからなんです。

今回のアニメも大きな見どころの一つにたくさんのエピソードをどう繋いで一話にまとめあげたかという点です。アニメ『グノーシア』は初めてご覧になる方にとっても、次はどうなるんだろうと期待いただくと同時にテンポよくお話が進むように。一方で、ゲームをご存知の方が見ると、「うまい繋げ方だな」「こう持ってくるのか」という驚きがあるはずです。
この連載インタビューでは、全乗員のキャストの方々にもお話を聞いてきましたが、「川勝さんから直接イメージを共有いただいた」という声が多かった印象があります。アフレコ現場には、名古屋から毎週通われていたそうですね。
川勝
はい。今回の『グノーシア』のアニメは、多くのクリエイターとキャストの方々によるコラボレーション作品だと思っていまして、それぞれが持っているグノーシアの世界観を一つに集結させたものが、今回のアニメです。

キャストの皆さんには、ご自身の中にあるキャラクター像を自由に演じていただきたい。ただ、時には迷いや疑問もあるだろうと思って、毎週収録に伺って、「原作ではこういう思いがあった」ということをお伝えしました。あくまで選択肢の一つとして、判断材料を提供できればと。
木村
基本は宇宙船の中での会話劇なので、声優さんの演技、抑揚や起伏の作り方に、本当に助けられていると感じています。

オーディションを実施したのは、ユーリ、セツ、SQ、ラキオ、ジナで、一人につき約200人ほどの声を聞かせていただきました。選ぶというより、その方にキャラクターをお預けするという感覚なんです。その方に損をさせてはいけないし、「なぜこのキャスティング?」と疑問を持たれるのも本意ではない。だから120%「この方だ」という確信を持ってキャラクターを預けて、あとはお任せする気持ちでお願いしました。

完成した映像を見て、本当に素晴らしい方々に参加いただけたなと思っています。キャラクターの個性が非常に強い作品ですが、キャストの方々はその個性に負けない演技をしてくださって。僕たちが思っていた以上のものを見せていただいている感覚です。
様々なクリエイターの方々と一緒に作品を作られる中で、お2人がプロデューサーとして大切にされていることがあれば教えてください。
川勝
プロデューサーの仕事は、突き詰めると二つしかないと思っています。一つは、本作に関わる方々に絶対的な安心感を持ってもらうこと。もう一つは、それを実現するための環境作りですね。

創作に答えはありません。だからこそ、関わる人たち全員が「ここは安心できる場所だ」と思える環境であるべきです。「何かあったらこの人が責任を取ってくれる」「守ってくれる」みたいな関係性ですね。これはゲーム開発の経験から学んだことです。

だから頼られる側が不安を見せてしまったら、それはチーム全体に連鎖してしまうので、私も木村さんも、正直に言えば痩せ我慢しています(笑)。みんなの前では「大丈夫」と言っていますけど、僕らだって本当は不安なんですよ。でも、その不安を見せた瞬間、全てが崩れてしまうので。いまだから言えますけど(笑)。
木村
実際のところ、全てが不確実なんですよ。アニメがヒットするかどうか、商品化や宣伝プランが成功するか。完成した作品を世に出すまでは、誰にも何もわからないわけです。
木村さんは、プロデューサーとしてどんなことを大切にされていますか?
木村
僕が意識しているのは、役割ではなく、その人自身を見るということ。クライアントとクリエイター、プロデューサーとアシスタント——仕事上の立場はいろいろありますが、役職や年次に関わらず、これは結局、人と人との仕事なんですよね。社外の方も若手スタッフも、誰に対しても肩書きで接するのではなく、一人ひとりと向き合う。そこは大事にしています。
川勝さんのおっしゃった通り、現場の安心感をどう作るかも大切です。川勝さんがキャストの皆さんに選んだ理由を直接伝えていらっしゃいましたが、そういう一つひとつの積み重ねが、信頼関係に変わっていくのだと思います。
川勝
毎週収録に伺う理由にキャストの皆さんが僕と最初に会った時、なぜ皆さんに演じていただきたかったのか、その理由を伝えたかったこと、また収録中に皆さんとグノーシアの情報共有をすることでさらに力を発揮いただけたらという思いがありました。
木村
アニメの現場で働く人たちは、声優さんをはじめ、全員が各分野のプロフェッショナルです。そんなプロの方々が、プロデューサーが立ち上げた企画に沿って、みんなが全力で作品を作ってくれているわけです。彼らが作るものに間違いはない。もし本来得るべき評価を得られなかったとしたら、それは企画を立ち上げた僕たちの責任です。だからこそ、一つひとつの現場に対して責任を持ち、「やりきった」と言える向き合い方をするしかないと思います。
最後に、第19話をご視聴いただいた方にメッセージをお願いします。
木村
ゲームをプレイした方も、アニメから入った方も、全ての方がこの第19話は初めて体験する物語です。ゲームを初めてプレイした時の「これからどうなるんだろう?」というあのワクワクする感覚を、今この瞬間、全員が同じ場所で共有できていることがすごく嬉しいです。

第19話では、おそらく皆さんの中にある『グノーシア』の世界が大きく広がったと思います。「こういう場所があるんだ」「この人たちは船を降りるとこんな会話をするのか」という世界観の広がりも明確に描かれました。物語がどこに向かっていくのか、全員が同じ気持ちで見届けていただけたら嬉しいです。
川勝
ここまで一緒に旅をしてくださって、本当にありがとうございます。木村さんもおっしゃっていましたが、ここからはアニメとしての新しい世界線、新しい物語が広がっていきます。まだ誰も見たことのない未知の世界ですので、ぜひ最後まで見届けてほしいと思います。そしてアニメがきっかけで主役(あなた)としてゲーム体験もしてもらえたら最高に嬉しいです。