2025年10月11日より放送がスタートしたTVアニメ『グノーシア』。
舞台は宇宙を漂う一隻の宇宙船、星間航行船D.Q.O.。人間に擬態した未知の存在「グノーシア」を排除するため、乗員たちは毎日1人ずつ、話し合いと投票によって“疑わしき者”をコールドスリープさせていきます。
しかし、主人公・ユーリは、どんな選択をしても“1日目”に戻ってしまう——そんなタイムリープの渦中にいました。
極限状況の中で交わされる会話を通じて、少しずつ明かされていく乗員たちの本音や秘密。信じるべき相手は誰なのか。何が正しい選択なのか。繰り返されるループの先に待つものとは——。
そんな謎に満ちた物語を彩るキャラクターたちを、キャスト陣はどのように演じたのでしょうか。
第13回目は、ジナ役の瀬戸麻沙美さんにアフレコ現場でのエピソードや演技に込めた想いを伺いました。
原作やシナリオを読んだときの印象を教えてください。
瀬戸麻沙美(以下、瀬戸)
ループものの構造や、“人狼ゲーム”的な要素があることは事前に聞いていたのですが、実際に台本を読んでみると、思っていた以上に奥行きのある作品だと感じました。舞台となる空間自体はずっと変わらないのに、登場人物たちの行動や関係性が少しずつ変化していくことで、じわじわと真実に近づいていく。その構成がとても面白かったです。
あとは、ユーリが何度も振り回されながらも、それでも前に進もうとする姿に強く惹かれました。“同じ場所なのに、話がどんどん展開していく”という感覚が新鮮で、読んでいてすごく引き込まれました。
ジナについて、最初にどんな印象を持ちましたか?
瀬戸
「口数の少ない子だな」というのが第一印象でした。でも、ただ無口なだけではなく、“嘘をつけない”という特性があるからこそ議論には積極的に参加しないし、そのぶん周囲からは何を考えているのかわからない存在に見えていたんだろうなと。第12話の台本でジナの過去を知り、彼女の背景がようやく見えてきたことで、これまでの振る舞いもすごく腑に落ちました。
演技で意識したことや、音響監督とのやりとりで印象的だったことはありますか?
瀬戸
ディレクションでは、「セツとキャラクターが被らないように」というお話がありました。そこから、“人と目を合わせるのが少し苦手”だったり、“自分から積極的に話すタイプではない”といった、ジナの繊細さを丁寧に表現することを意識しました。
また、最初に「ジナは本当に優しい子なんです」と説明を受けたときに、「その優しさが裏のあるものに見えないように」ということも気をつけました。この世界では、親切すら疑われることがあるので、ジナのまっすぐな思いやりがちゃんと伝わるように、誠実なトーンを心がけました。
第12話は、そんなジナの優しさが印象的に描かれた回でしたね。
瀬戸
はい。ユーリや他のキャラクターのためにジナが行動する姿って、この物語の中ではすごくピュアに映るんじゃないかと思っていて。たとえば、料理を作ったり、そっと気遣ったり、誰かのために動くというその行動ひとつひとつが、彼女の静かな優しさにつながっているんですよね。そこに至るまでの背景や、ユーリとの関係が少しずつ見えてくることで、ジナという人物の輪郭がより立体的になれば嬉しいなと思いながら演じていました。
お気に入りのシーンや話数があれば教えてください。
瀬戸
やっぱり第12話ですね。信頼なのか、恋なのか。ユーリと出会ったことで、彼女の中で何かが動き始める。それがすごく大きな出来事だったと思います。あとは別の回ですが、ジナが料理をするシーンも好きです(笑)。ジナって料理が特別得意なわけではないのに、一生懸命誰かのためにやろうとするんですよ。それがすごく微笑ましくて。そこから周りのキャラクターたちが「ジナならやってくれる」って、どんどん頼るようになっていく感じも面白かったですね。
ジナ以外で好きなキャラクター、もしくはキャラ同士の関係性などあれば教えてください。
瀬戸
どの組み合わせも面白いですが、たとえばSQとレムナンの間にはちょっと危うい香りがあって気になります(笑)。あとは、SQとジナの絡みも好きですね。SQはすごく自由で読めないキャラクターなので、ジナがどう受け取っているのか……と考えながら見てしまいます。
もしご自身が『グノーシア』の世界にいたら、どんな立ち位置で動くと思いますか?
瀬戸
うまく立ち回れないと思います。嘘をつくのが苦手というより、人をすぐ信じちゃうタイプなんですよ。「この人、なんかいい人そうだな」と思ってかばった相手がグノーシアだった……みたいな展開になりそうで(笑)。 守護天使とか、サポート系の役職が合っていそうな気はするんですけど……ミスが多すぎて、あまり役に立たないかもしれません(笑)。
「このキャラが味方だったら心強い!」と思うのは?
瀬戸
やっぱりユーリですね。ちゃんと状況を把握していて、この世界のルールも分かっているから、どんなときでも正しい方向に導いてくれそう。頼りになります。
他のキャラたちは……ちょっとクセが強いので、うっかり騙されそうで怖いです(笑)。逆にラキオは、たとえ味方だったとしても信用しきれないというか……なんだか常に一枚上手な感じがして、ちょっと心配になります(笑)。
今回、『グノーシア』の現場に参加して、刺激を受けた点を教えてください。
瀬戸
キャストの皆さんの“初登場回”の空気がすごく印象的でした。第1話って、そのキャラをどう演じるか、みんなが緊張しながら挑んでいる場面でもあるんですけど、先輩方が「こういう方向でいこう」とキャラ作りをその場でどんどん調整していく姿にすごく刺激を受けました。
あと、スタッフさんや原作の先生の熱量がすごくて。キャスティングの理由を直接伝えてくださったり、PVが完成したタイミングで一緒に観たり。収録現場がとても温かい雰囲気で、「この作品に関われてよかったな」と素直に思えました。
本作では“嘘をつく”“正体を隠す”といった、キャラクター自身も“演じる”シーンが多く描かれています。ご自身が役者として役を演じるうえで、大切にしていることを教えてください。
瀬戸
一番大切にしているのは、「相手の言葉をちゃんと聞くこと」です。声優の現場では抜き録りになることも多く、すべてが掛け合いとは限りませんが、それでも「言われたから返す」という当たり前の反応を丁寧にやるようにしています。特に『グノーシア』のように裏の感情を含んだ作品では、準備を固めすぎると演技が固定されてしまうこともあるので、現場では一度その準備を手放し、相手の芝居にちゃんと反応することを意識しています。
現場では、その掛け合いから化学反応が生まれることも?
瀬戸
ありますね。「あ、そうくるんだ!」と相手の芝居に驚かされる瞬間って、お互いにとってすごく良い刺激になると思います。たとえばジナが驚くシーンでも、「ここで驚くぞ」と構えてしまうと、どうしても“作られた驚き”になってしまうので。
私は、まったくのノープランで現場に入れるほどの度胸も技量もまだなくて(笑)。だからこそ、自然に驚けるようにしっかり準備はしておきつつ、構えすぎないよう心がけています。
大切なのは、相手の言葉をちゃんと受け止めて、自分の中にある土台から反応できる状態にしておくこと。それがあって初めて、キャラクター同士の“会話”が成立すると思っているので、演じるうえでいつも意識していることです。
視聴者の皆さんへ、最後にメッセージをお願いします。
瀬戸
ここまで観てくださった方は、キャラクターたちの個性や人間関係、そしてこの世界の“何かがおかしい”という感覚に気づき始めていると思います。この作品は、ただグノーシアを見つけて終わるゲームではなく、その裏にあるもっと大きな真実や仕掛けにたどり着く物語でもあります。
ループする世界の中で変わっていくもの、変わらないものは何か。真実が少しずつ明かされていく中で、これまで見えていなかったキャラクターたちの表情や関係性も浮かび上がってくるので、楽しみにしていてください!